冬季のトロポス導入効果の実測紹介①(札幌オフィスビル)

目次

はじめに

「トロポス導入効果の実測紹介」では、夏季の室温低下や空調負荷の軽減など「トロポス」の効果をご紹介してきました。
今回は、冬季の断熱性能に焦点を当て、札幌市内のオフィスビルにて実施した測定結果をもとに、「トロポス」がどのような効果を発揮したのかをご紹介します。

札幌オフィスビルでの測定概要

札幌市中心部にあるオフィスビルにて、入居テナント様のご協力のもと、「トロポス」導入前後の室温変化を比較する環境測定を実施しました。
測定は、冬季の3か月間にわたり行われ、内窓の断熱効果を実測データで検証しています。

■ 測定期間
トロポス設置前:2020年1月16日 ~ 2月7日
トロポス設置後:2020年2月9日 ~ 3月2日


※ なお、期間中は窓際の空調機(FCU:ファンコイルユニット)は未使用状態であったことが、吹出口に設置した温度計のデータから確認されています。
これは、純粋にトロポスの断熱効果のみを検証できる貴重な条件となっています。

 

今回のレポートでは、「実測紹介①」と同様に、ペリメータゾーン(窓際)とインテリアゾーン(室内中央部)の温度差に着目し、トロポス導入による温熱環境の変化を比較・ご紹介していきます。

トロポス 測定概要


測定結果

【ペリメータゾーンと外気温の関係】

 

下図は、ペリメータゾーン(窓際エリア)の室温外気温の1時間平均値をプロットしたグラフです。
このグラフでは、トロポス導入前後における室温と外気温の関係性を視覚的に比較できます。

2本の回帰直線(導入前導入後)を比べると、傾きはほぼ同じである一方、
導入後の回帰直線は全体的に約3℃上方に位置していることがわかります。

これはつまり、外気温が同じ条件でも、トロポス導入後の方が常に室温を高く維持できていたことを意味します。
この結果から、「トロポス」による断熱性能の向上が明確に確認されたと言えるでしょう。

ペリメータゾーンと外気温の関係


【ペリメータゾーンとインテリアゾーンの室温比較】

 

時間帯ごとの室温推移グラフ

 

上図は、測定期間中の平日の日中における1時間ごとの室温平均値を、
ペリメータゾーン(窓際)とインテリアゾーン(室内中央)でそれぞれ比較したグラフです。

 


 

改修前は、窓際と室内中央の間に平均約2.9℃の温度差があり、
この温度差がトロポス導入後には縮まり、空間全体の温熱バランスが改善されたことが明確に示されています。

一方、トロポス導入後には、ペリメータゾーンインテリアゾーン温度差が平均約0.5℃まで縮小しました。
これにより、室内全体の温熱環境が均一化され、どの場所でも快適に過ごせる空間が実現されたことがわかります。

 


 

特に朝方の6時〜9時にかけては、ペリメータゾーンの室温が改修前の18.5℃から、改修後には22.3℃へと約4℃上昇しました。
この結果は、トロポス設置による断熱効果によって夜間に室内から逃げる熱が抑えられたため、
明け方の時点での室温が高く保たれていた結果を示しています。
つまり、「冷え込みが厳しい朝の時間帯でも、快適な室温が早く確保できる」という大きなメリットが確認されました。

 


まとめ

今回の測定結果から、冬季においても「トロポス」は明確な断熱効果を発揮することが確認されました。
ペリメータゾーンとインテリアゾーンの温度差は、従来の約2.9℃から約0.5℃にまで縮小し、室内全体の温熱環境がほぼ均一化されました。
これにより、「ペリメータレス(=窓際でも特別な暖房対策が不要)」な快適空間の実現が可能となります。

また、朝6時〜9時の時間帯では室温が約4℃高く保たれていたという結果から、夜間に室内から逃げる熱をトロポスがしっかりと遮断し、室内の熱を保持していたことを示しており、

省エネ観点でも大きなメリットが得られることがわかりました。


これらの結果から、「トロポス」は冬季における快適性の向上と暖房負荷の低減(=省エネ効果)の両立に大きく貢献する製品であることが明らかとなりました。


  本ページは、弊社高田が執筆し、建築学会環境系論文集に掲載された論文をもとに作成しています。